ヘーゲル哲学のアウフヘーベンを、二つを組み合わせて折衷案を作るような感じに捉えてしまっていて、どうも日常生活でうまく使えないなと思っていましたが、実際には概念をより洗練させるという意味があると知りました。
何かの概念の悪いところを捨てて、いいところだけ保存するということです。
これであれば、わざわざ二つを組み合わせたり意見を対立させたりする必要はありません。一つの概念から悪いところだけ捨てていけば、より良いものに変わっていくからです。
実際に僕が行っていたアウフヘーベンを、遠隔ヒーリングの例で挙げてみます。
ヒーリングの世界では遠隔ヒーリングを行う際に、名前の他に受ける方の住所と生年月日、または写真が必要というのが常識となっていました。
ただあまりに多くの個人情報を得てしまうと、情報漏洩の際にこわいですし、僕自身は情報を管理する手間が大変だと思っていました。そして経験を積むにつれて「こんなに個人情報いらないでしょ」という思いもわいてきました。
そこで実際にどのくらいまで情報を削っても遠隔ヒーリングが行えるのか試そうと思ったのです。
具体的にどのような手順で行ったのか失念してしまいましたが、試行錯誤しながら検証していくと、最終的に名前だけでも全く問題なく行えると判明しました。
このように住所、生年月日、写真も必要だという元の概念からアウフヘーベン(捨てて保存する)すると、名前だけで遠隔ヒーリングが行えるという新たな概念が生まれたのです。
当時はヘーゲルのアウフヘーベンなんて知りもしませんでしたが、哲学を学んで過去を振り返ってみると、意外にも自然とこういったことを行っているんだなと気付かされます。
元の概念から悪いところを捨てていいところだけ保存する、というのは仕事だけに限らず日常生活のあらゆるところに使えそうな考えですから、この先もどんどんと活用していきたいものです。