遠隔ヒーリングとタントリズムヒーリングのサロン
横浜市西区浅間町
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目を澄ませる 

2023/11/19
今日は午前中に読書でもしようかと昨夜に予定を立てていましたが、朝目覚めてカーテンを開けた時に秋晴れの青空を見るや否や、「今日は絶対に散歩をしなければ後悔する」と思い、すぐに支度をして散歩に出かけました。


今日の自分が思考を使う読書をやめて、感覚的なことをしたくなったのは、やはり昨日観た映画『ケイコ 目を澄ませて』の影響でしょう。この映画は、耳の聞こえないボクサーであるケイコが主人公の物語ですが、ボクシングがメインというわけではなく、真っ直ぐに生きるケイコの日常をフォーカスしたものです。ストーリーはどんどんと勝ち上がっていくサクセスストーリーではないですし、視聴者をどこか遠くへ連れて行ってくれるものでもありません。家と職場とジムがメインとなり、交友関係も多くはないのです。

耳が聞こえない人が主役となる場合の映画の手法として、静寂を使うことがあります。しかし本作ではあえて生活音を際立たせる手法を使っています。パトカーのサイレン、電車が線路を走る音、鉛筆でノートに日記を書く筆致の音、ボクシングジムでのミット打ちやロープ(縄跳び)の音、これらの音が際立つことで、普段何気なく聞いていた音を、もう一度新たな意識で聴いてみるように促されているのではないかと思うのです。静寂を使わずにあえて音の輪郭をはっきりさせて強調する、という方法に深く感動しました。

CG多用の現代において16ミリで撮影するのも、新たな視点を与えるという観点でグッドアイデアだと感じます。撮影場所の荒川区の少し寂れた下町と16ミリの映像がマッチして、どこか昭和を感じさせるところもエモーショナルですし、誰もいないジムの中に朝日がさして埃が舞うところですら、一流の写真家の作品のように美しく感じてしまうほどです。

本当にこの映画不思議なんですよね。何かを成し遂げるわけでも、派手なアクションがあるわけでも、セクシーな恋愛シーンが出てくるわけでもないのに、ぐんと引き込まれて、あっという間に映画が終わってしまう。感想を書こうと思っても、うまく形にできないんだけど、何か温かいものが残っている。またいつか自分が成長した時に、もう一度観てみたくなるようなそんな映画です。

監督の三宅昌さんがインタビューで「良い映画というのは観終わった後に、日常が違って見える」というようなことを言われていましたが、僕にとってこの作品は、まさにそのような日常が違って見えるような、より多くの色彩を与えてくれるものとなりました。


今日の散歩は、良い天気に導かれて根岸森林公園に行くことにしました。

道中の石垣の隙間に生えている、ほとんどの人が名前を知らないであろう雑草が、日の光を浴びて青々と輝いていたり、公園の芝生から見上げる飛行機の尾翼が銀色に光ったり、そういった些細なことに気づけたのも、きっと昨日観た映画のおかげでしょうね。

SOLIS HEALING


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