渋谷駅から外苑前にある鍼治療院までの往復をいつも歩いています。
その途中に『アマム ダコタン』という行列のできるパン屋さんがあります。
僕は流行にだいぶ疎い方なので、渋谷を往復するたびに「いったい何の行列だろう?」と思っていました。でも調べるのが面倒なので「まぁいいや」と毎回テクテク歩いていたのですが、記憶を辿ってみると、雨の日も雪の日も、暑い日も寒い日も結構な行列を作っているので、ちゃんと調べてみることにしました。すると有名なパン屋さんだということが判明したのです。
家でラジオをぼーっと聴いていると、美味しいパンの話になり、その中に『アマム ダコタン』が出てきました。若い女性が「私、パンの味の違いってあんまりわかんないんですぅ」というと、食通っぽいおじさんが「アマム ダコタンを一回食べてみ、全然違うから」というような会話がなされていました。
そのような会話を聞くと、自分も一回食べてみたくなります。しかしあの行列に並ぶのは、牛のケツの上で昼寝するくらい気が進みません。
そんなこんなで時がながれて本日、鍼治療の帰りにお店を覗いてみると、行列が短いではありませんか!いつもは大体道路の方までずらっと並んでいますが、今日はお店の前に15人ほどしかいません。これはチャンスと思い並んでみることにします。ただ、しばらくして気づいたのですが、自分はこのお店で何が一番の売りか全く把握しておらずプチパニックに。スマホで調べても25位から商品が紹介されていているような面倒な記事を開いてしまい、ここでもプチパニックに。結局、今まで信じてきた自分の直感で選ぶことにしました。
列に並んでいたのは大体20分くらいでした。入店すると店内は思っているほど広くはない様子です。
雰囲気はパンを売っていますというだけでなく、ファンタジー感と言いますか、ジブリっぽさと言いますか、何かお店の世界観があって「なるほどこれがはまってしまう理由か」とひとり納得してしまいました。
そしておそらく何を買っても美味しいだろうなと思ったので、食パン(小)¥180/ アマゾンカカオ(小)¥290/ あんこ練乳 ¥260/ クロックマダム ¥310 の4点に決めました(写真を撮りましたが、あまり写りが良くなかったため掲載を控えます)。
表参道にあるパン屋ですのでもっと高級かと思っていましたが、意外と横浜のパン屋とそう変わらない料金設定です。しかし違うのは、行列に並ぶという心理的なものが加わるということでしょう。行列に耐えることで「ここまで並んだからにはもっと買わなければならない」という心理が働いてしまうのです。その心理は、普段からメタ認知能力を鍛えているはずの僕にもしっかりと作用し、余分にパンを買わせてしまうのでした。
帰りに食パンを齧ってみると、甘味と塩味のバランスがよく、ぱくぱくと食べてしまいました。普通は口の中の水分が持っていかれる感じがありますが、どうもこの食パンに限ってはそういうことはなく、潤いを保てるのです。この食パンを食べていると、そういえば25歳に大学病院に入院している最中、なぜかやたらと食パンを食べたくなってしまったことをふと思い出してしまいました。その時に「美味しい食パンが食べたいな」と思った想いが、長い年月をかけてようやく今叶ったような食パンです。
他の3つのパンもとても美味しくいただきました。クロックマダムはギリッギリまでトロトロにしてあるので、トレーに乗せるとき、包装するとき、食べるときと今にも崩れ落ちそうなパンを扱うのに一苦労ですが、実際はその見た目以上に、さらにクリーミーでふわとろです。こういった個性があるパンに出会えるのも『アマム ダコタン』の魅力なのかもしれません(列が短かったらまた行こうっと)。